うるせえ、玉の輿。
「私も業平も、貴方をおもちゃにしてないし。私がいなくなれば、業平にワンチャンあるかなって」
「……虹村社長は尊敬していますが、俺は男性とどうにかなりたいと思ったことがないです」
「じゃあ私がエッチしてあげるから、業平ともエッチしてッて言ったら?」
「頭がおかしくなったのかなって思います」
少しだけ本気で考えていたのに、彼みたいな真面目な人には無理な話だったようだ。
「男とか女とか関係ないぐらい業平は、人間としてすごいんだよ。今は好きじゃなくても、一緒に居たら好きになるかもしれないじゃん」
「好きですよ。でも恋愛対象じゃないって意味です」
「一ミリも可能性はないの?」
私は汚れた瞳で、彼の目をまっすぐ見る。
彼は辛そうに瞳を揺らしながら頷く。
「逆に、俺は分からない。どうしたら麻琴さんが俺のことを見てくれるかわからないです」