うるせえ、玉の輿。
なんでこんな私に、彼は優しいんだろう。
性格なんて、そこらへんに飼い主が放置する犬の糞よりも最悪だぞ。
なんで、それなのに私に優しくしてくれようとするんだ。
「帰りましょう。俺も、怒られちゃうけど」
「あ、仕事?」
「いえ。虹村社長に。貴方を見つけても接触しないでって念を押されていたのに、駄目でした」
苦笑しつつも、全く悪びれる様子はない。
それどころか、どこか清々しい様子だった。
接触しないでって言われても、私が自殺するかと思ったから頑張って止めようとしていた人。
「貴方がいないと、虹村社長も俺も寂しいんです」
「貴方はともかく、業平が寂しいのはね」
「ふ。酷い人だ」