うるせえ、玉の輿。


「それって、子種だけほしいって虹村社長のこと言ってましたが、虹村社長と繋がったら、麻琴さんは社長のことも汚すんですか?」

業平を汚す……。
あの人が汚れる?

「業平は、私ぐらいの汚れなら浄化させそう」
「ほらね」

はあ、とわかってないなと言わんばかりの大げさな溜息を吐かれた。

まるで私が悪いみたいな、大きなため息だ。

「俺は汚したい、社長は綺麗にしてくれる。貴方が選ぶべき相手は俺じゃないってとっくに結論は出てるんですよ」

結論がでている。
そういわれた瞬間、窓がバンバン叩かれた。

「麻琴ちゃん! 麻琴ちゃああああああんんんんっ」
「業平……」
「今すぐ開けて。出てきて。出てこないと、大声であえぐわよ!」

喘がれる……。
真っ赤な目で、今にも喘ぎ死にそうな、業平ががちゃがちゃと車のドアを開けようとする。

私は、――私はジョージさんを見た。
彼は、業平じゃなく私の表情を見逃さないように見つめている。
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