うるせえ、玉の輿。
「……私」
「ああん。あああああん! やめて! フラミンゴ宅配員の丞爾さん、だめよおおお」
トラックの外では、必死に業平が喘ぎだしたけど私は、頭を押さえた。
好きとか嫌いとか、そんな綺麗な感情なんてない。
ぐちゃぐちゃした、汚い、真っ黒な感情。
親が、親らしいことをしてくれたことはなく、あいつの言葉は信じたらいけない。
そう思い、私は自分の気持ちを一番に考えてきた。
自分の気持ちが一番正しいと言いて来たのだ。
ただ、ほんの少しだけ、あの父親よりまともな思考だっただけで、とっくに生きるために汚い根性になっていたのに。
「あん、あああん、あん」
必死であえぐ、意味の分からない業平。
「貴方が、業平を選ばないなら誰が業平をお姫様にしてくれるのかなっておもったの」
「……だから俺にキスしたんですか」
「そう。業平を選ばない貴方なんて」
言い終わらないうちに流れ落ちた涙。
汚い、汚れた水の排出。
私の嘘だらけの矛盾した思考の先。
ジョージさんは、私の理解しがたい思考回路を、知ってくれようと見つめてくれている。
だから私は跳ねのけないといけない。
「……ごちゃごちゃした理由はない。私は貴方が汚れたら嬉しい。それだけよ」
ドアのロックを開けて、飛び出した。