うるせえ、玉の輿。



「麻琴ちゃん、ごめんなさいね、思い詰めさせて、ごめんなさいね」
「……業平」

「ここにいていいからね。麻琴ちゃんは私の家族のようなものなのよ。ここにいていいからね」

抱きしめられて、顎でごりごり擦られた。
男のくせに、髭がなく、女の子みたいに可愛く甘い香りがする。

「ジョージさんが、釣り堀してた私を捕獲してくれたの」
「まあ。さしずめ海に投身自殺とでも誤解したんでしょ」
「そうそう」

開け放たれた助手席のドアから、業平はジョージさんを見る。

「ありがとう。麻琴ちゃんを見つけてくれて」
「虹村社長」

間髪入れずにジョージさんは、まっすぐに業平の顔を見た。

「俺は、麻琴さんと粘膜接触しました!」
「え、ねりま……粘膜?」
「なので、貴方から本格的に麻琴さんを奪うつもりでいます。……無謀かもしれませんが」

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