うるせえ、玉の輿。
「でもジョージさんが」
「私たちって家族みたいに育ったから、好きになるものが一緒になるんじゃないかしら」
ね、と強引に玄関の中へ押し込められた。
「大丈夫よ。私は麻琴ちゃんが好きだもの。丞爾くんが麻琴ちゃんを好きって言いだして、あの子を選んでよかったな。見る目あるなって思ったもの。だから、大丈夫。好きな人が一緒って素敵じゃない」
「……結果的にジョージさんは一人しか選ばなかったら?」
「そこよねえ。どうしようかな。あ、ご飯、私が作るからまずは座って」
もっと重たくなるかと思えば、まるで明日の服を選ぶような軽いノリで言われた。
冷蔵庫からは昨日作っただろうカレーが鍋ごと出てきて、コンロに乗せられる。
「私を選ぶ丞爾くんは想像できないし、麻琴ちゃんを選んだら、嬉しいって、最初から私は選ばれる気はないのよね」
「なんで、そんな弱気なの」
「だって、彼、同性に興味なさそうだし」
「……監禁して、業平の体にめろめろにさせる」
某ゲンドウポーズでカレーを見つめながら言うと、鍋に水を垂らし混ぜながら業平は笑う。
「三人で幸せになりましたっていう童話ってあったかしら」