うるせえ、玉の輿。
朝起きると、隣に麻琴ちゃんの姿がなかった。
「麻琴ちゃん!?」
急いで、バスローブを乱しながら階段から降りると、どこにも麻琴ちゃんの姿がない。
「麻琴ちゃん!? 麻琴ちゃん!?」
お風呂にも、客室にも、リビングにも、私の衣装室にもいない。
玄関に靴がないか確認しようとすると、玄関が開いて土がついた大根が顔を出した。
「あれ、はやいね。おはよう」
「……おはよう」
「お味噌汁が飲みたくってさ。大根取りに行ってた」
土がついた大根をシンクに置くと、エプロンをつけて、大根の土を洗い出した。
「……どうしたの? はやく座りなよ」
「えっと、うん」
トントンとまな板を叩く包丁の音がする。
テーブルに突っ伏して、その音と細い背中を見ながら下半身が甘く疼くのが分かった。
「後ろから抱きしめて、耳舐めていい?」
「は?」
ぱっかーんと大根が二つに割れた。
振り返った麻琴ちゃんが、大根を二つに割っていたのだ。素手で。
「や、なんかムラムラしちゃったの。ふふ」
「……えっと、子作り?」
男心をわかっていない麻琴ちゃんの発言で、下半身の疼きが収まった。
「ごめんなさいね。夢で、なんかキスしちゃって」
「ぶっ」