うるせえ、玉の輿。

女の子みたいに白く細くかわいくなりたいと思っていた時期もあるのよ。

どうして私の体は、あの服を着こなせないのよと。

でも理想の体を持っていた麻琴ちゃんが現れて、ああ、私は男なのね、って思ったの。

あの子が私をお姫様のように扱ってくれるけど、私は女の子になりたいわけじゃなくてお姫様みたいな女の子らしさに惹かれているの。

「だから、男に抱かれたいわけじゃなく、ましてや抱けるのかも、ちょっと下半身と相談してみなきゃ」

「お、抱く? 社長、俺のこと抱いちゃう?」

「抱いてみようかしら」

「しゃちょー! ふくしゃちょー! 納期迫ってるから社内恋愛後でしてください!」

直澄を押し倒してネクタイを緩めていたら、ファイルで頭を叩かれた。
iPadで叩かれないあたり、愛を感じる。

「しょうがないわね。とっとと仕事しちゃいましょう」
 もはや私は自分が何をしたいのか分かっていない。
 迷走中で、何に悩み何が欲しくて悩んでいるのか。
 ――結論は視えない。

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