うるせえ、玉の輿。
「私、そーろーじゃないから、突っ込んで腰振ってだけじゃ満足できないのよね」
その前に、直澄では起たないであろう。だって友達だし。
丞爾くんとは違うのよね。
「ふうん。まあいいや。そういや、香水貸してー」
「どれでも使っていいわよ。私、もう少しだけ書類チェックしてから帰るんで」
「悪いな。遠慮なく使うから」
直澄は、隣にいるとむせ返るような、くっさいって鼻摘まむぐらい、香水をつけるので、ほどほどにしてほしいんだけど、あの甘い顔で女たちは許しちゃうんだろうね。
あーあ。面倒くさい。
麻琴ちゃんも丞爾くんも、簡単に私の思うままに行動してくれる子たちじゃないじゃない。
どうやったら、あの二人が上手くいくのか。
上手くいった場合、私は自分のことをどうするのか。
親には昔からずっと、延々と、それでこそ、麻琴ちゃんと結婚してして言われてきた。
でも私たちはその意思がないし、彼女の幸せのために、だったのかもしれない。
彼女の幸せのために、彼女が男性が怖いと言っていたから、だから私は『 』だったのかもしれない。
だから『 』かあ。
「帰ったらお蕎麦。帰ったらお蕎麦」
今は目の前の仕事と帰宅後のそばのことしか考えたくない。
そう思えたの。