うるせえ、玉の輿。
「……は?」
すぐに液晶画面をみて電話番号を確認したのち、業平の顔が険しくなっていく。
「……もしもし?」
内容は聞き取れなかったけど、受話器の向こうから笑い声だけは聞こえてきた。
次の瞬間、業平が大げさに溜息を吐いて前髪を掻き上げた。
「なによ。あんた? 何してるの。丞爾くんに代わってちょうだい」
……業平の知り合い?」
「やだ。丞爾くん、何してるの? 貞操の危機よー。早く帰りなさいよ。どれぐらい飲んだのよ」
ジョージさんは、酔ってはいるけど電話に出れるぐらいは正気があるようで、少しほっとした。
ので慌てて天ぷらを揚げようとキッチンへ向かった。
「で? なんで貴方が麻琴ちゃんのクソジジイの名前を知ってるの? 直澄」