うるせえ、玉の輿。


看板もない二階に店?
私が入っても大丈夫なの?
ここだけ、静かで不気味だ。
さっきまでの周りの騒がしさが嘘のように、静まり返っている。
恐る恐るドアを開けると、目に飛び込んできたのはダーツの機械と、ビリヤード台だ。

「すんません」
「ひっ」

よくみると、入り口入ってすぐに小さなバーカウンターがあり、黒いタンクトップの禿げ頭のおじさんが私を睨んでいた。

「ここ、会員制なんだけど」
「あ、ひ、私、ちが」

会員制? 隠れ家みたいな場所なの?
だが、奥に入っていった業平を守るために、行くしかない。

「私は、お、お客じゃないの。ナオズミに今すぐ来いって言われたの。丞爾とナオズミはどこ?」

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