うるせえ、玉の輿。
「シザーハンズ、いいわよねえ。空から雪が降るのは、愛する人を想ったままお城に逃げ隠れた彼が氷を研いでいるからなのよ!」
「私も好き。でもあの自分から迫っていたあの婆は許さん」
「そうよ。切ってしまいなさい。禿にしちゃいな」
「任せろ」
チョキンっと音を立てて近づいていく。
チャラそうで、話しただけでもふわふわした綿菓子のように内容のない言葉を並べていた。
「やめ、やめろ。分かった。業平は抱かない。だから、ちょっと一旦落ち着こうか」
「だが断る」
覆いかぶさっていた体制を戻し、降参だと言わんばかりに両手をあげた彼を、業平が羽交い絞めにした。
「今よ」
「よっしゃ!」
チョキチョキと切っていく。
高そうな服の、胸の部分だけくり抜いて、乳首をこんにちわしてやった。
笑い転げる業平と、胸を押さえる変態と、気が緩んでソファに倒れるじょーじ君。
カオスな時間は終わった。
髪は勝手に切ったら、一応傷害事件になってしまうからね。
少しでもまだ抵抗するなら、下半身の凶器を切ってやるつもりだった。
「……だめかあ。あーあ。この筋肉だけの、低学歴なガキと仲良くし出して、なんか、こう、面白くねえじゃん」