うるせえ、玉の輿。
それこそ、石油王レベルの人じゃないと嫌だ。
石油王とまでいかなくても、女性とか男性じゃなく、業平という性別を愛して大切にしてくれないと。
「この直澄とやらは、性欲で考えてるじゃん。大学時代からの特別な相手だから抱けるなら抱こうって、こんないかがわしい店で、アルコールなんて注射してさ。最悪だよ」
「まあお酒に頼るなんて最低よね。お酒ってちんこ勃たないらしいじゃない? 自分だけ勃たせて、私は道具みたいに扱うなんて、絶対あいつセックス下手よ。あ、乳首丸出し写メ撮っておこう」
ごーかんされそう?になった本人がこんな風に呑気なのはいかがなのか。
「ということは、私が酔っぱらったクソジジイに襲われたとき、あいつどうせ酔ってただろうから、どちらにせよ純潔は守られたわけか」
「それはそれ。これはこれ。さ、丞爾くん持って帰りましょう」
「ええええ」
重たそうにジョージさんの腕を肩に担ぐ業平と、セックス下手くそ乳首丸出し野郎と罵られ固まっているエプロンプレイ好きの直澄、酔っぱらって呂律の回らないジョージさん、そしてシザーハンズの私。
カオスな中、私が心配したのは、ただ一つ。
天ぷらそばのエビは高級だから二尾しか買っていない。
ジョージさんが欲しいと言ったら、私が差し出すのはしかたな……。
いやだ。
酔っ払いには、天かすでも天ぷらの形に整えて出してやろう。
「もう。危ないでしょ。こんな、屈強な坊主がカウンターにいる店なんて来たら駄目よ」