うるせえ、玉の輿。
上の服は切り刻まれたけど、ズボンは躊躇している様子。
「俺が脱ぎましょうか?」
ハサミで切られるのも嫌なので、素直に言うと麻琴さんも頷いた。
「物騒なので、ハサミはテーブルに置いてください。ここ、どこですか?」
「私の部屋。廊下の向こうが業平の部屋」
「へえ……」
ジーンズを脱いだら、勝負下着どころか会社のビンゴ大会でもらったペリカン柄のボクサーパンツだったのを思い出し、恥ずかしながら前を隠しながらベットに正座した。
俺もまだお酒が抜けていないからふわふわしている。
「で、なんで俺、ここにいるんですか?」
「私とエッチするため」
支離滅裂で、話の前後がかみ合わないけど、必死で雄たけびを上げて鳴くのを我慢しているような、ぐしゃぐしゃな顔の麻琴さんが俺を見ている。
「業平が、私なんかを好きだとキスしてきた。だから、だめ。私は貴方でいい。貴方のものにしてほしい」
「え……えー……嬉しい言葉なのに、全然嬉しくないです、それ」
「だって駄目じゃない。業平が、私みたいに汚い親父から作られた、性格も顔も悪くて根性も最悪で、男なんて死ねばいいのにって思ってて、業平以外の男なんて虫けら以下だって思ってる汚い女を、好きとか、だめだ。駄目なんだよ」