うるせえ、玉の輿。
「私、ジョージさんと処女散らす前提でお付き合いすることになったので、明日にでもこの家を出ていくし、さんぴーはしません」
麻琴さんは俺の腕にしがみつくと、さっきまで可愛い発言していた唇から、思ってもいないような言葉ばかり並べて本音を隠した。
けれどとっくにお見通しといわんばかりに、虹村社長は笑っている。
「さんぴーしましょうよ。貴方が丞爾くん、私があなた、丞爾くんが私を愛撫してメビウスの輪みたいに円になってさ」
「え、男二人女一人のさんぴーって、男性が女性にご奉仕するんじゃないですか!」
虹村社長とのさんぴーの認識の差に驚いた。
「麻琴さんは?」
「私は、二人がイチャイチャするのに合の手を入れる係」
最早、さんぴーが何なのか分かってもいない初々しい方までいる中で、さんぴーは無理でしかない。
「虹村社長、ちゃんと彼女と話し合ってください」
「ジョージさん」
「このままだと、俺は彼女の言う汚すっていう言葉に浮かれて、本当にお付き合いしたいって思ってしまいます。夢を見てしまいそうです」
虹村社長以外に見向きもしなかった彼女が、俺に少しだけでも興味を持ってくれたのが嬉しくて、期待してしまう。