うるせえ、玉の輿。
私と業平の間に恋愛感情はない。
それでいい。それでよかったのに。
「馬鹿なのよ。大馬鹿なの。貴方の幸せより私の幸せを優先しちゃったの」
「……意味わかんない」
「玉の輿には乗せてあげられないけど、私が幸せになりたいから、私のものになってちょうだい」
「……馬鹿じゃないの」
こんなのが業平の幸せだと思わない。
こんなことが業平の幸せになるとは思えない。
でも幸せになってほしいから、それは私の幸せなのだからどうすればいいのか分かってる。
「業平はこの先、後ろ指をさされて馬鹿にされるよ。『あんな薄汚い親父の娘を恋人にして』って。親父が酔っぱらって近所に迷惑かけてたんだから。なんであんな奴の娘を保護してやんの。ボランティアかよって」
「じゃあその人たちが、そんなこと言えなくなるぐらい貴方をシンデレラみたいに素敵な魔法で変身させるわ」