うるせえ、玉の輿。
業平が聖人君子じゃなかったら、私なんて転生され許されない汚い泥だらけの石ころだ。
きっと私は自分の価値をこれからも認められないし、業平に触れていいとか許される立場ではないのは変わらないと思う。
だけど、業平から触れてもらうたびに、言い知れぬ感情が涙となって押し寄せる。
好きなんて簡単な感情じゃない。手を伸ばしてはいけない気に実った林檎のように、触れられるたびにどうしてもどろどろな罪を感じてしまう。
「業平」
「なあに?」
同じベットの上、観念して私は業平の方へ向く。
業平は、ずっと弄っていた私の髪を名残惜しそうに離して、指だけが空間に止まったままだ。
「私はきっと死んだら地獄に落ちると思う」
「まあたそんなことを言う」
来世、業平には幸せになってもらおう。
今は、私がいいというならば、いつ覚めてもいい。それに従う。
「だから、子作りしよう」
「……え?」
「ジョージさんじゃなくて私でいいなら、さっさと子作りしよう。ただし、私はまともな家庭で育っていないから、おじさんとおばさんにも子育ては手伝ってもらうよ。おじさんとおばさんの愛情をもらった業平みたいな子どもが欲しいし。愛情はもちろんあるよ。業平の子どもならめちゃくちゃ可愛いからな。私のようなひねくれたガキにならないように、そこは頼るけど」
「えーーっと待って、待って頂戴」
「シャワー先に浴びてくる」
「待ちなさい」
ベットから飛び出そうとした私を、再び後ろから羽交い絞めにしてくると、業平は息を整えた。