うるせえ、玉の輿。
「……そーゆう意味不明な部分が可愛いのよね」
「ひいい」
「一緒に眠るだけ。ね? 昨日だって一緒に眠ってたでしょ」
昨日と今日では業平の気持ちが違うじゃない。
そう思うのに、私はとっくに業平の言うことには従順な、ちっぽけで口の悪い我儘な女だった。
業平は再び、ローションたちを段ボールに戻すと、ベットに寝転び隣をポンポン叩いた。
動かない私を見ながら、何度でもポンポン叩く。
「あー」
「よっ」
ポンっと私の合いの手に合わせて叩いてくれたあと、『こら、観念しなさい』と腕を掴まれ引き寄せられた。
「むり。甘い雰囲気止めてー。むりいい。業平、怖い」
「昔からずっと甘やかしてきたわよ。やっとお互い、好きって気持ちに気づいたんだもの。恥ずかしい気持ちは私も一緒よ」
隣に半ば無理やり寝転びながら、じっと私の顔を覗き込んでくる。
怖いので、反対側をむこうとしたら引き寄せられ抱きしめられる。
逃げられない。
ぎゅっと目を閉じてさっさと気絶するように眠ろうとすると、いい匂いのする彼の手が私の唇をつんつん弄りだした。
噛んでやろうか。