うるせえ、玉の輿。
業平が私の奥へ侵入しようと動くたびに、アシメトリーに切られた髪がゆらゆら揺れていた。
その奥に、泣き出しそうな、それでいて幸せそうな瞳が私を映している。
一緒に私も揺れて、どんどん上にずれて、やがて頭がベットの端に当たって二人で笑った。
腰を捕まえられ、業平に引き寄せられて、奥を擦り上げられると下半身がじわっと電撃を食らったように甘くしびれた。
引き裂かれる様だった痛みが、私の体の中で濡れて和らぎ、いつしか擦られるたびに頭の中を引きずり出されるように真っ白になっていく。
「麻琴ちゃん……」
甘い声。甘い言葉。甘いキス。
ああ、愛されている。それだけは間違いないんだ。
私も背中に手を伸ばして、頭を打たないように業平にすり寄った。
長い遠回り。
思考回路は迷路。
恋愛とは、いつしかゲシュタルト崩壊。
そんな屈折した私は、痛みの先に確かに幸せを感じた。
「うっ……くっ」
声を我慢する業平を、いつか思いっきり喘がしてみたいとさえ思う。
「麻琴ちゃん、ごめん。いくっ」
ほうほうと、心の中で油断していたのに、指が、私の下半身の快楽で尖っていた部分に――自分さえその部分の快楽を知らなかった部分を擦った瞬間、大きく背中がしなった。
びくびくと痙攣しながら、涙でぼやけた視界の先、とろけてしまった業平が私の元へ落ちてきた。
肩で息をしながら、中で爆せられた温かい感覚に私も目を閉じた。