うるせえ、玉の輿。

「なんかねえ、直澄が言うには、丞爾くんのお父様ってすごい人らしいのよ」
「ああ、直澄さんって例の業平に惚れて私たちのキューピットになってしまった、良い人なのか悪い人なのか分からないポジションの人」

 旧財閥の一人息子という、なかなかいい身分の人。
 なのに関わらず、私の玉の輿候補には絶対にさせたくないと接触させてもらえなかった人だ。
 業平が好きな今、あの人の存在はどうでもいい。
 業平が仕事ができて、ビジネスパートナーというのであれば、そう信じるしかない。

「そういえば、おばさんたちがお昼に会いに来たよ」

一緒によるご飯を食べて、ソファでゴロゴロしながら膝枕していた業平にそう言った。

最近は、べったりで、下手したらトイレまでついてくる。
あれはどうやら、甘えん坊に育っていたらしい。
結ばれてた次の日には二階は改築され、私と業平の部屋は大きく合わさり、まるでどこかのオフィスかよってぐらい広くなった。
一緒に通勤し、一緒に帰宅し、私がご飯を作るのを眺め、一緒にお風呂に入り、一緒にテレビを見て、寝る。

ほぼ引っ付いていて、この人はいい加減いやじゃないのかな。
私みたいなやつと四六時中一緒なんて。

「で、うちの親がなんだって?」
「なんか結婚式をしたいって。孫は三人ぐらい見たいし、生前贈与したいし、私にもお小遣い渡すから会社辞めて妊活に専念しない?て」
「んま! なんて親なの。子どもの性生活に口を出すなんて最低! 不潔よ!」
「私は、男の子が生まれるまで産みます! お小遣いはいらないからおじさんおばさんは孫の子育てのお手伝い頼みますっ会社はお金は自分で手に入れたいのでやめませんって言った」
「そう。……貴方ならうちの親とうまくやれそうね」
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