うるせえ、玉の輿。
そりゃあ、幼少期に施設に入れられた私を長期休暇に迎えに来てくれるような優しすぎるおじさんとおばさんだぞ。
私を養女に引き取らなかったのは、もしかして業平と結婚してくれるかもって期待があったらしい。
業平は女装癖があったり可愛いものが好きだったりしたから、まともに恋愛ができるか心配だったらしい。
過酷な環境で生きていた私なら、業平を受け入れてもらえるかもと。
失礼な話だ。業平はモテるし、おじさんとおばさんが心配するほど変じゃない。
まともだ。
「業平の話し方って、私の男恐怖症への配慮? 趣味?」
「半々かしら。女性の言葉の方が可愛いし。それにこの喋り方を差別する人がトップの会社って大体雑魚だから、判別もできるしなあ」
「ふうん」
「その点、丞爾くんは素敵な人だったわ。差別もしないし人を見て態度を変えない。どんな仕事も一生懸命。笑顔が可愛い。すべてパーフェクト」
ジョージさん。
確かにめちゃくちゃに汚してしまいたくなるぐらい、良い人だった。
あんないい人は、幸せになってほしい。
会えたらな、土下座して謝りたいぐらい振り回してしまった。
「あん、21時になったわ。ドラマに変えてちょうだい」
「ほいほい。何のドラマ?」
「マリーアントワネットが現代に転生してしまう話」
「ふうん」