うるせえ、玉の輿。
ベットの下を覗くが当然エロ本の姿はない。
ゴムとか下処理する道具がないが、まあなければないでいいか。
業平がどんな反応するか少し楽しみだった。怒るのか慌てるのか、説教するのか。
案外男らしく攻めてきたり……は、ないな。
私にそんな魅力はない。
ふと、ベットの横のテーブルに黒いファイルを見つけて、手に取った。
そこには、若い男の顔と共に『津津村 丞爾』と書かれたページがある。
宅配サービスの『フラミンゴ』の宅配員で27歳。ふむふむ。私の一つ下か。
両親ともに病死、返していない奨学金あり、高卒、弟と妹がいる。
「なんで、こんなファイルを業平が持ってるの?」
もしかして好きすぎてストーカーして調べたのかな。
ちょっと、いや、これはかなり気持ち悪い。
「ぎゃー! なんて格好で人の部屋にいるのよ、麻琴ちゃん」
「ちょっと業平、このファイルって、ぎゃーっつ!」
業平がバスローブ姿で現れたかと思うと、突然バスローブを近くのソファに置いて全裸でこっちにきた。
「そのファイル! なんで勝手に見てるの!」
「な、なんで全裸でこっちで来るの!」
「私は裸で寝るの。こら、そのファイルを返しなさい!」
「いや! 業平、色々気持ち悪い!」