うるせえ、玉の輿。
さっき女子みたいに騒いでいたくせに、陰ではこんな個人情報をファイルに纏めていたなんて最低すぎる。
「これ、私が作った奴じゃないわよ。興信所とかで誰かがゲットした情報よ!」
「……」
信じられないので、195センチのクマの首をロックして人質にしながら聞く。
「そのファイルがポストに入ってたのが数日前。それからすぐに貴方が結婚を脅してきたから――このファイルはうちの親じゃないかなって思うの。私に恋人がいないのか興信所使って、男がいたから貴方を派遣したんじゃないかなって」
「なるほど」
おじさんとおばさんが心配していた様子からして、それはありえる。
「でもまあもしかしたら私と彼の仲を引き裂きたい誰かの仕業かもしれないから指紋を付けないように、処分もどうしようか悩んでいたのよ」
「中身は全部見たの?」
疑わしきは罰せりだ。意味は分からないがたぶん、今使うはず。
「見てないわよ。兄弟がいるとか借金があるとかは、彼の方から包み隠さず教えてもらっているしね」
「ふうん」
おかしな点は全くない。
私もファイルはパッとしか見てないし。
「ジョージさんってこんな顔してるんだね」
ファイルを返しながら言うと、業平は首を振る。
「写真より実物の方がいい男よ」