うるせえ、玉の輿。
二、ローリング・ソバット
清々しい一日だった。
天気が良く、けれど暑くはなく風はほどよく吹く。
夜のうちに少し雨が降っていたおかげか、気温も上がらず草も抜きやすい。
一人だけ交代で電話番という名の休憩をはさみ、午前中は社員総出で草むしりをした。
うちの造園の設計、リフォームの会社『春夏秋冬(ひととせ)』は、社員30人。おじいちゃんぐらい年齢が離れている先輩方に可愛がってもらい、自分の母親より年齢が高そうな先輩方からお見合いを持ちかけられるのをうまく断りながら、穏やかに過ごしていた。
「麻琴ちゃーん。お昼休憩だよ」
ぽてぽてと大きなお腹を揺らしながら、おじいちゃん社長が手を振ってやってくる。
小さい会社とは言え、ゴミ袋8袋の草を抜いた。
田舎だから、会社より駐車場の方が大きいせいもあって意外と時間を食った。
「めっちゃお腹空きました」
「ピザ多めに頼んだから、余ったらタッパに入れて持って帰っていいからねー」