うるせえ、玉の輿。



二人が上手くいくように祈りつつ、空になったお皿をシンクに浸けていく。
ワインしか見ていなかったが、ジョージさんはお皿に乗ったものはきちんと全部平らげていた。
遠慮して白ご飯だけを食べていた彼を思い出し、思わず笑ってしまう。

なんて良いひとなんだろうか。
だから業平は彼を好きになったのだろう。

カチャカチャとお皿同士を重ねたら音が鳴る。
どんな形や色や大きさでもお皿はお皿。

同性でも年齢が違っても、人間は人間。
だから、業平が選んだ人とどうか――。

「あ、あのう」
「ひいい」

後ろから声をかけられて思わず変な声が出た。

「あの、すいません。俺です。津津村丞爾です!」
「え、え、えええー?」

振り返ると、ドアノブと傘を持ったジョージさんが申し訳なさそうに体を縮こまらせて立っていた。

「え……お、終わったの?」
「終わったって?」
首を傾げる彼に、失敗したのだと気づいた。


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