うるせえ、玉の輿。
「え……好きって言うか、命の恩人だから味方っていうのが正しいかな」
「味方、ですか」
「うん。業平が世界中から嫌われても非難されても、私は絶対に業平も業平の家族も命に代えても守りたいし恩を返したいかな」
それに恋愛感情があるかときかれているのならば、答えはノーだ。
「えっとね、うちの親父が生活保護者で、虹村家所有の地に勝手に住み着いて、子どもの私に暴力振るうような人間だったの。まあ要するに私は虐待されてたから、虹村家が保護して施設に入れてくれたんだけどね」
私もお茶を飲みながら話していたら、ジョージさんの目が泳ぐ。
「ごめん。ヘビーな内容で。でもね、けっこうビール瓶で殴りかかったり、ハサミで切りつけたりして、やり返してる。お酒がないと暴れるけど、お酒を飲めばまあ、暴れないし、飲んだ直後なら殺せそうだなって、思ってたしね」
なるべく明るく話したつもりなのに、彼はやはり顔色が悪い。
知らない人にする話ではなかった。それは本当に申し訳ない。
「それで施設にいたんだけど、一度だけ帰宅が許されたの。でも行き違いがあってね、私は虹村家に一時帰宅するはずが、役所の人との連絡ミスでクソジジイが迎えに来たの」
あの時は、父は酔っぱらっていたし手に包帯をしていたし、私に詫びていたから少し気を許したのが間違いだった。