うるせえ、玉の輿。


かなあ。
はったりだけど、まあ、この世に生きている人間は、全員業平にかなわないでしょ。
化粧品会社の社長、親は神様、性格は温厚、顔は極上。
お姫様でもあり、王子様でもある。そして貧乏人の私を見捨てたりしない。
コンビニのプリンだって買ってくれる。
こんな人を好きだと言われたら、諦めが付くのだと思う。

「えっと、ジョージさんは」
「俺は、確かに虹村社長なら敵わないけど、けど麻琴さんはなんだか凛としててとても心配になります」

「凛としてて心配?」

「綺麗な、一輪の花みたいです。似てる花はない。枯れる姿もみたことない。放っておけば、雪の日も、雪が積もった体を揺さぶることなく凛と立っているような。この人、いつ泣いてるんだろうって、いつ弱音を吐くんだろうって、すごく凛としていてそこが不安になるんです」

「お、おう」

このジョージさんって人。
会って数日しか経っていない私に、どんな幻想を抱いているの。
私がそんな人間なわけないのに。
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