うるせえ、玉の輿。
うちの仕事場から歩いて7分の場所に、昔からあるスーパーとその隣にどら焼き屋さんがある。
スーパーは、19時に閉まってしまうけど閉店間際はお惣菜が半額なので重宝している。
よくわからない演歌が流れ、年配向けのお菓子コーナーと埃をかぶったお酒が並ぶ、どこかノスタルジックで古……趣のあるお店だ。
お茶の葉も種類が豊富だし、店が少し、いや、かなり趣がある以外は問題はないのよね。
「あ、やっぱり麻琴さんだ」
「……は?」
お茶の葉を選んでいた私を、向こうのコーナーから顔を少し出して、声をかけてくる人がいた。
「地元の人にこのスーパーはお茶にあう煎餅が豊富って聞いたんですよね」
「な、なんでいるの。仕事は?」
ピンクのTシャツが腹筋だけで破れてしまいそうな筋肉の形に伸びているし、ジーンズなんで加工だらけで破れすぎててお洒落ではない気がする。
が、まぎれもなく、たった今会いたくなくて逃げた相手であるジョージさんが目の前にいる。
「俺、今日は非番ですよ」