うるせえ、玉の輿。

「ああ、そうなんですね。では」

会話を無理やり終わらせて、会社の雑費からお菓子とお茶の葉を買う。
紅茶とか珈琲でもいいんだけど、年配の人たちはやっぱりお茶。そして冷えた麦茶。

ポイポイ入れていたら、なぜかジョージさんはその場に立ったまま動かずこちらを見ていた。

「あのう、そんなに買うんですか?」
「うち、一か月一人500円請求してお菓子休憩があるんで、皆、すごく食べるんです」
「へえ、持ちますよ」
「大丈夫です。いつもこれぐらい持ってますので」
「あー……言い方が押し付けてしまってすいません。俺が持ちたいんです」


大きな手が伸びてきてので体が大きく揺れてしまった。

「ごめんなさい。あの、すいません」

私の過去話を思い出したのか、後ろに一メートルは飛んだ。

「いいえ。でもいい加減分かってくださいね」

私があなたの理想の人間ではないということを。
性格が悪い。そして、貴方を一番に考えてあげられないことを。


「分かりました」
何か決意したかのように大きく頷くと、ジョージさんはつばを飲み込む。

「俺に優しくしないと、虹村社長に言いつけます!」


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