うるせえ、玉の輿。
「はあ!? なにそれ、やめてよ、こどもっぽい!」
「子供っぽくて結構です。俺はあなたの役に立ちたい。貴方は虹村社長のためなら、好きでもない俺に優しくできる。利害関係はクリアしてませんか」
全くしていない。
何を言い出すのか分からないけど、言いつけられたら『どうして仲良くしてくれないのよ』としくしく泣いてしまうのは火を見るより明らかだ。
ただでさえ、先日のベットでの事件で落ち込んでいるのに。
あとドアが閉まらなくて、可哀そうな部屋にもなっている。
「それに、貴方は知らないかもですが、俺は実はあの日が初めてじゃないかったんです!」
「後出しはやめて」
「いっつもあなたの仕事場に配達すると、笑顔で綺麗な貴方が見えました。なのに俺がいくと、目も合わせず適当にハンコを押して、ささっとまた逃げるように消える。そんなあなたが俺に優しくしてくれる、唯一のチャンスなんです」