うるせえ、玉の輿。


人間を失敗作なんて言うのは失礼かもしれないけど、働かない、子どもに暴力をふるう、家賃も払わず人の土地の廃墟に住み着く。
これはどう頑張っても、失敗作なんじゃないかしら。

でも、その失敗作をビール瓶で殴ったと、鼻血を服の袖で拭きながら立つ女の子。

睫毛なんてばっちばちに伸びてて、カールする必要ない。
白くて細くて小さくて、意地悪な継母や義姉たちに虐げられているシンデレラみたいに水ぼらしい服。

彼女はシンデレラのように、不幸に生まれてしまった幼少時代を吹っ飛ばすぐらい幸せになる権利があると思った。

『業平はさ、女の子でも男の子でも業平よ。どっちも可愛いし格好いい』

そして私の存在を唯一認めてくれる、世界で一番優しい女の子なの。

バイだと装えば、女の子の格好をしたり、可愛いものを集めても文句を言われないと思ったのにいばらの道だったわ。

私のことはもう諦めた。けど麻琴ちゃんは素敵な人を見つけてほしい。

そんな中、毎日どこかに王子様がいないか探していた時に見つけたのが、丞爾くんだったの。
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