うるせえ、玉の輿。
「そうね。私が口説いても、男に興味持てなさそうだったら幼馴染に回すの。で、私に靡いたら私が食べちゃうの」
「お前って、童貞っぽい、素朴で、田舎でひまわり畑の真ん中でトウモロコシ食べてそうな田舎っぽい男ばっか口説いてるよな」
「ぶっ」
こいつの中で私はどんな趣味なんだろうか。
直澄は、お洒落しない体育会系の男が許せないらしい。
なので私は趣味は合わないが、ギリ一緒にいて不快にならない相手らしい。
「でも丞爾くんって、田舎に流れ落ちた皇族の子って感じしない?」
「全くしない」
「男に性欲が湧かない直澄とは、話が合わない」
「えー。業平しゃちょーって、男に性欲わくの?」
デスクの上にあった新作コスメと、書類を交互に見ながら私は頷く。
「バイって言ってるでしょ」
「男と寝たことは?」
「まだ、……ない」
「女と寝たことは?」
「全員の顔を思い出せない程度には」
直澄からさいてーっとブーイングがなる。
けれど、もしかしたら、丞爾くんとそうなる可能性はあるでしょ。
先日、ベットに私を寝かせてくれた丞爾くんを見上げた。
私よりしっかりした胸板。
がっしりした身体。ベットに片足を乗せただけで、大きくベットが揺れた。
『虹村社長って、肌が綺麗ですね』
少し驚いて照れていた彼を見上げて、ああ確かにねって思った。
彼みたいな人がいたら、私は女の子になりたかったかもしれない。
可愛い女の子になって化粧してスカート穿いても、誰も文句言わない。
そしてジョージくんみたいに真っすぐで純粋な子と恋ができたかもしれない。