うるせえ、玉の輿。


けれど残念ながら私の体は男なのだ。
そして男に性欲が湧くか湧かないかと言えば、分からない。

ただ、丞爾くんみたいな男の子を、口説くのはちょっと面白い。

「俺、男とはヤったことねえわ」
「あら、副社長、まだいたの?」
「今度俺と遊んでみる? しゃちょー」
「いやよ。あんた、病気持ってそう」

丞爾くんは、私の理想なのだ。
麻琴ちゃんのお相手として。

「社長、一階にフラミンゴ急便の方が社長を、と」
「すぐに向かうわ! 直澄、貴方のタイプじゃない子とタイプの子を選別してて」
「おい、あーっも。俺は本気で言ってんのになあ」

直澄が本気のとこなんか見たことないわ。
大学時代、こっそり部屋で女装していたときに、窓から侵入していた『うっわ。お前、女みたい』と褒めてんのか褒めてないのかわかんないコメントをくれた時も顔は普通だった。

エレベーターの中で髪を整えながら、丞爾くんに会えると思ったら胸が騒ぐ。
ああ、やっぱりもしかして、これは麻琴ちゃんのためじゃなくて私が恋してたりするの?
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