伝えたい。あなたに。"second story"
山瀬先生が出張に行って2日目、案外好調かもしれない。でも、頭痛が増しているのは否めないが、、、。



はぁぁ。



大きくため息をつく。
今日は佐々木先生の日だ。



頭が痛いなんて間違っても言えない。
何をされるか。



コンコンッ。



『おはようございます。』



予想通り、例の人だ。



『おはようございます。』



『体調は?昨日熱があったみたいだけど。』



そんなつもりは無いのかもしれないが、どこか冷たさを感じる。


『もう大丈夫です。熱も落ち着きました。』



なんとなく、目を合わせたくなくて、視線を逸らす。



『俺嫌われてるかな?』



私に嫌われるだけのことをしてるのに、気付いてないんだ、、。


『いいえ、、そんなことないですよ。』



『だったら、普通に話してくれる?』



なんか。



高圧的で。
怖い。



『ごめんなさい。気をつけます。』



俯きがちに言う。



『だからさ、なんで目合わせてくれないの?』



面倒くさい。



この人。



『すみません。』



渋々目を合わせる。



『採血のときもさ、血管が細くて入りにくいのを、いかにも俺が悪いって顔するのやめてくれる?』



『はい、、ごめんなさい。』



なんで怒られてるんだろう。



この人のせいで、具合悪くなってたのに。



新人の看護師さんだろうか。黙って見ている。



『採血の後に具合悪くなるのなんて誰でもあるから、いちいち大げさ。演技してんでしょ?僕の評価が落ちるからやめてくれる?』



頭が真っ白になった。





、、、、。





演技、、、。




私が、、フラフラしたのも、、



意識がなくなるのも。



演技?



そんなはずない。



胸が苦しくなった。



選んでこんなことしてるわけじゃないのに。
選んでここにいるわけじゃないのに。



あなたにわたしの痛みや苦しみがわかるはずないのに。



『まあ、これから気をつけてね。』



そう言い放って去って行った。



辛い。
こんな風に言われたことが。



悲しくてたまらない。
治療なんて、したくてする人がいるだろうか。


したくない。逃げたいときもある。
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