伝えたい。あなたに。"second story"
ソワソワ、、。


予約をした時間まで、あと30分だ。


行きたくないけど、行かないわけにはいかない。


いつもよりさらに入念に歯磨きをする。


あの機械の音と、独特な空間。


病院なら顔見知りがいるけれど、今日はアウェーなんだ。


意を決して、歯医者の扉を開ける。


しんと静まりかえった待合室は、不安をそそった。


誰もいない。


診療時間の少し前だからだろうか。


『こんにちはー。』


大きな声で挨拶をする。


するとどこからともなく、『こんにちはー。』


元気の良い挨拶が返ってきた。


雰囲気は良さそう。


『予約をしてました、高島といいます。』


受付の担当らしき女性が


『診療時間前ですので、おかけになってお待ち下さい。』


その後すぐに、問診票を渡される。


私にとってはこれが一つ目の難関だ。


"持病"
"飲んでいる薬"
"他科の医院での治療"
"アレルギー"


抜け目なく書かないと、大変なことになる。


一つひとつをゆっくりと記入し終えたときには、診療時間が始まる頃になっていた。


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