伝えたい。あなたに。"second story"
それからも、歯の状態の確認など診療が進んでいく。


『写真を撮るので、一度こちらにおねがいします。』


そう、これだ。私の大敵。


レントゲン。


あの狭い部屋で、視界が極端に狭くなるのがなんとも怖い。


閉所恐怖症に近い部分があるのだろうか。


動悸がする。


怖いな。


でも、準備は着々と進められていて。


『それでは始めますね、何かあったら教えてください。』


うぅ、怖い。


ガーッという機械の音が余計に不安を煽る。


どうしよう、逃げ出したい。


肩や首、頭全体が硬直している。


言うことを聞かない。


それが緊張をさらに増幅させた。


目さえも、思い通りにならない。


勝手に視界が揺れて、焦点が定まらない。


どうしよう。


もう、無理だ。


そう思った瞬間、言うことを聞かない体が限界を迎えた。


———ガタンッ

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