伝えたい。あなたに。"second story"
スイッチをつけるように、パチっと目を開ける。


そこにいたのは、心配そうに私を見つめる衛生士の女性と、歯科医だった。



『大丈夫ですか?』


まだ、心臓がバクバクした余韻が残っている。


『はい。すみません。』


『ちょっと緊張しちゃったかな?今までも、こうやって倒れたことあった?』


担当の歯科医師がいう。


名札には今井とあった。


『いいえ、初めてです。』


『そっか、体調大丈夫そうなら続けるけど、どうする?』


『大丈夫です。お願いします。』


自分の言葉のどこに説得力があるのかは、私もわからないが、とりあえず頑張らないことには始まらないだろう。


....。


大丈夫ですか。


はい。


....。


大丈夫ですか。


はい。


こんな調子でことあるごとに、確認された。


もちろん安心できたけれど、側からみれば変な光景だろうと、恥ずかしくなってしまった。


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