伝えたい。あなたに。"second story"
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『正直に話してくださいよ...』


『だから何をですか?』


『喘息だけで、この注射のあとはつきませんよ。』


それはあなたの経験なわけで、私には関係ない。
いつまで足止めされるのだろう。もう早く帰りたいのに。


『でも私は、入院してこうなったんです。それ以外に何がありますか。』


狭い車の中は息が詰まる。多分、熱が上がってる。


『あるんでしょ?』


『何もありません。』


『すごく動揺してるの分かりますよ。』


別の警官が言う。


動揺とかではなく、ただ、具合が悪く顔色が悪いだけ。私はいつものこと、そのたびに犯罪者扱いではあまりに無情ではないか。


『じゃあ、私はどうすればいいんですか。』


『今、薬入ってます?』


その言葉で、私のなかの糸がぷっつりと切れた。


『なんで、、私だって、つけたくて作ったんじゃない。』


『いや、本当のこと言ってもらわないと、泣かれても。』


涙が、手の甲に落ちる。
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