伝えたい。あなたに。"second story"
何度も深呼吸をする。



早くしなきゃと、焦れば焦るほど鼓動が速くなる。



"ずっと待つよ"



度々申し訳なく思ってしまう。



長い沈黙が流れる。



時計の秒針の音が響く。



ふぅーー、、。



握られた手を今度は自分から握り直していう。



『大丈夫。』



『うん、ダメだったらすぐ言ってね。』



そうして、再び聴診が始まる。



大丈夫。大丈夫。



心の中で繰り返しながら、時間が過ぎるのを待つ。



ずっと、ずっと優しかった。



なんともなかった。



ひとつ、自信をつけられたかもしれない。



こんな小さなことだけど。



『先生、ありがとう。大丈夫だった。』



『どういたしまして。』



久しぶりに頭を撫でられて、なんだかまた子どもに戻った気がした。
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