伝えたい。あなたに。"second story"
退院させてもらって、行こう。


リハビリだと思って。


スタートを切ると緩められないのが、自分だけれど、いつまでも出発しないのは、どうしようもない。



『山瀬先生、いつ退院できる?』


夕方の回診に来た山瀬先生に問いかける。


『退院はね、早くて明日できるよ。』


『わかった。』


『今回は長引かなくてよかった。でも、無理は禁物、自転車に乗って買い物に行くのは言語道断です!』


『はいはい。大丈夫だから。もうしない。』


『どうだか。もしまた警察官に話しかけられたら、ちゃんと落ち着いて、聞かれたことに答えるんだよ。』


『うん、もう半袖着ないから。』


『明日以降、気温上がるみたいだから、気をつけてね。』


『うん。』


相変わらずお母さん見たいと微笑む。


『来週、同窓会に行くの。高校のね。』


『そうなの、楽しんでおいで。くれぐれもお酒を飲む人に流されちゃいけないよ。』


さすが最後まで抜かりない。


『それは大丈夫。』

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