伝えたい。あなたに。"second story"
『はい、腕だして。』




そうして差し出した腕には思い出したくない傷が残っていた。




素人がやったみたいな注射の跡。




まるで薬物依存の人。




ため息が漏れる。




『大丈夫だって、こんなにうまい先生いないから。』



後ろ向きな私を少しでも元気付けようとしてくれる。



そんな優しさが傷口に染みるようで。



『念のために、横になってくれる?』



『なんで?』



『一度倒れたことのある人は、こうするのが通例なの。大丈夫だと思うけど。』



自分でも大丈夫だろうと思いながら、採血を受ける。



でも、



パチンっ



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