伝えたい。あなたに。"second story"
ゆうかの採血も手慣れたものだ。



『チクッとするよ。』



針を指した瞬間、突然ゆうかの様子が変わった。



脱力しているようだ。



『ゆうか?大丈夫?』



そのまま動かない。



意識がない。
脈も呼吸も問題ないみたいだ。



注射でよくある迷走神経反射かもしれない。
寝かせておいてよかった。



焦ることはないが、本人は目を覚まして驚くかもしれない。採血を終えて、検査に回す。


もう一度声をかける。



『ゆうか、聞こえる?』



すぐに目を覚ました。
訳がわからないという顔をしている。



『ゆうか、今どうなってた?』



『今、少しの間意識遠のいたけど、誰にでもあることだから心配ないよ。』



『意識遠のくのが、誰にでもある訳ないじゃん!』



『大きい声出さないの、大根の汁を空腹の時に飲むとなることもあるよ。だから病気でも何でもないの。』



『なにそれ、大根の汁って。よくわかんないけど、山瀬先生が言うならとりあえず信じる。』



『ありがとう。』



単純だな、、笑



『でも、よく息苦しさがあるって言えたね。やっと小児科卒業か』



『ばかにしないでよ、私だって先生との約束守れるんだから。』



ゆうかと話してるとついからかってしまう。口角が上がってしまうのはいつものことだ。
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