伝えたい。あなたに。"second story"
コンコンッ



今日のお客様は誰だろうか。
回診の時間にしてはまだ早い。



ガラガラッ



『お母さん。』



『ゆうか、久しぶり。しばらく来れてなくてごめんね。』



『ううん。仕事忙しいんでしょ?』



『ぼちぼちね、ありがたいわ。これ、新しい着替えね。高品質パジャマ買っといたから。』



しばらくは病院のパジャマを着ていたから新鮮だ。
高品質の必要はない気がするけれど、、。



『ありがとう、でも誰が洗濯するの?』



はっとしている。
けれどすぐに、



『大丈夫、お母さんなんとかするから。』



手段を選ばないから、どうするのか興味はあるけど、あえて聞かないことにした。そして、ずっと避けてきた話をすることにした。



『お母さん。私昔のこと何も知らなくてごめんね。お父さんやお母さんのこと、悪く思ってたこともあったんだ。』



『そんなのいいのよ。私達が選んでしてたこと。でも、寂しい思いをさせたことも事実。山瀬先生がそばにいても、家族であなたを支えるべきだった。』



『お母さん、、、。』



お母さんの本音に心を打たれた。



『ごめんね。これからも完璧な母さんにはなれないかもしれない。でも、一生懸命頑張るからね。』



『謝らないで、、。もう過去のことを悔やむのはやめよう。私も前に進みたい。今までの日々を取り戻したいの。』



お母さんは涙目になりながら、私をぎゅっと抱きしめた。



そして、私も。



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