伝えたい。あなたに。"second story"
『始めるよ。』


『うん。』



痛みが走る。



痛みよりも、これが最後とは限らないという先の見えない真っ暗闇に、言葉にならない、心の痛みを感じた。



一粒の雫が顔を伝う。
以前のように声を出して泣くことが少なくなった。
ゆっくりと空気を吸う。



目頭の小さな震えはそれでも治らなかった。



"また戻ってくることになるかもしれない"



そんな考えが頭をよぎる。
ベッドに添えていた自らの手を、いつのまにか握りしめていた。



『終わったよ。大丈夫?よくがんばったね。』



そう言いながら、肩に優しく触れた。
目が開けられない。
少しでも動かしたら、涙が落ちそうで。



そのまま動かない私にタオルをかけて、山瀬先生はどこかへ行ってしまった。



きっとこの痛みを取るのは、時間でも、他の誰かでもなく、自分が強くあることなんだと思った。



もう一度手を握り直す。
強くなりたいと、願いながら。
痛みに耐えながら。



"宿命"



この世で私が乗り越えていくこと。



それはきっとこういうことだと思った。
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