伝えたい。あなたに。"second story"
自然と体が固まる。
またあの恐怖が蘇る。
でも今は、鬼畜ながらも後ろで見守る山瀬先生はいない。



ふぅ、、、。



自分を落ち着ける意味を込めて、息を吐く。



『注射苦手?』



看護師さんが聞いてくる。



『はい、少し、、。』



本当は大の苦手だけれど、この本人を前にしてそんなことを言って、余計に緊張されては困ると思った。



『今まで、これで倒れたことある?』



『倒れたことはないです、、。』



自分の中では倒れたも同然だと思ったけれど、パッタリ倒れたことはない。



『そっか、じゃあ始めるね。』



案の定、例の研修医がやるようだ。
練習して回っているのだろうか。



もう練習台にはしないと言ったのに。
針から目を背ける。



宮本さんや山瀬先生は直前まで針が見えないように配慮してくれていた。



けれど、今はそんなことはない。
完全アウェーだ。
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