伝えたい。あなたに。"second story"
ピッピッピッピッピッピ.....



規則的な音が聞こえる。
前にもきたことがある。



そんな気がした。
きっと外泊は白紙だ。



でも、後悔はしてない。
多分、私がしなかったらゆみちゃんという子は大怪我をしていただろうから。



そんなことを言いつつも、機械に繋がれてる私に説得力はない。手足は自由に動くみたい。



胸の苦しさもすっかりなくなっている。
少し体を起こしてみようと思った。



けれどそれはすぐに諦めた。
めまいがする。



罰ゲームかというくらい、ぐるぐる回っている。



目をつぶっても、横を向いても、
気持ち悪い。



少し体を起こした位置で1番ましな体勢を見つけた。



はぁ。



なんなのこれ。



『入りますよー。』



カーテンの向こうから声が聞こえた。



看護師さんのようだ。



『目覚めてたのね、先生呼んでくるね。』



ここはすぐに気付いている反面、落ち着かない。



『ゆうか、めまいする?』



顔を覗き込んで早々に聞かれる。



『うん。』



額に手を当ててくれる。



いつものやつだ。
久しぶりで少し恥ずかしい。



『ゆうか、外泊どうする?』



『どうするって、これじゃあ無理だよね。』



『今日は無理だけど、明日明後日あたり、様子見てみる?外出許可なら出せるよ。』



泊まれずとも病院から出られるのは嬉しい。



『うん、それでもいいよ。』



『わかった、じゃあゆっくり休んでて。めまいの薬持ってくるから。』



自分がそんなに悪いわけではないと知って、ほっとする。






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