伝えたい。あなたに。"second story"
山瀬side))
やっと、
退院させられる。
でも、油断はできない。
まず、一緒に暮らすことが未知の世界だからだ。
ゆうかのご両親はいつもそばにいるわけではない。
不安は多くあるが、手探りの生活を精一杯支えたいと思う。
病院から家に向かう道中、ゆうかはずっと黙っている。
『なんで喋らないの?』
『だって緊張するもん。』
『散々一緒にいてまだ緊張するの?俺ってそんな未知の生物かな。』
大きくうなずいた。
『何か期待してる?』
冗談まじりに言うと、思い切り肩を叩かれた。
『変なことしたらキックするからね!』
『ついたよ。』
『うん。』
そんなに驚いてはいない。
漫画に出てくるような高層マンションではない。
普通の家だ。
父から譲り受けたもので、一人で住むには広すぎる。
『バリアフリー、うちとは違って入りやすくていいね。』
そのあたりに目をつけるのは流石だろうか。
『部屋何個も余ってるから、好きなところ使ってよ。』
『うん、でもどこも埃っぽいよ?』
わりとストレートに本音を言う子なんだと気付く。
『掃除する暇ないんだから仕方ないでしょ。』
『んふふ、山瀬先生可愛い。』
『どこが可愛いのさ。』
『なんでも完璧にしてそうだと思ったけど、白衣を脱いだら普通の人なんだなって。』
夜中に喘息の発作を起こした時、白衣を脱いでも医者なんだ、と言ってたのはこういうことだったのか。
『今日は遅いから、明日掃除しよう。俺こっちで寝るから、ここの部屋使っていいよ。』
『悪いよ、私がこっちで寝るから。』
『何が悪いの。こっちの部屋は夜寒くなりやすいからだめ。風邪ひく方が悪いでしょ。』
『わかった。』
『お風呂入っといで。』
『うん。』
なんだか母のようなことを言っている気がするのは気のせいだろうか。
やっと、
退院させられる。
でも、油断はできない。
まず、一緒に暮らすことが未知の世界だからだ。
ゆうかのご両親はいつもそばにいるわけではない。
不安は多くあるが、手探りの生活を精一杯支えたいと思う。
病院から家に向かう道中、ゆうかはずっと黙っている。
『なんで喋らないの?』
『だって緊張するもん。』
『散々一緒にいてまだ緊張するの?俺ってそんな未知の生物かな。』
大きくうなずいた。
『何か期待してる?』
冗談まじりに言うと、思い切り肩を叩かれた。
『変なことしたらキックするからね!』
『ついたよ。』
『うん。』
そんなに驚いてはいない。
漫画に出てくるような高層マンションではない。
普通の家だ。
父から譲り受けたもので、一人で住むには広すぎる。
『バリアフリー、うちとは違って入りやすくていいね。』
そのあたりに目をつけるのは流石だろうか。
『部屋何個も余ってるから、好きなところ使ってよ。』
『うん、でもどこも埃っぽいよ?』
わりとストレートに本音を言う子なんだと気付く。
『掃除する暇ないんだから仕方ないでしょ。』
『んふふ、山瀬先生可愛い。』
『どこが可愛いのさ。』
『なんでも完璧にしてそうだと思ったけど、白衣を脱いだら普通の人なんだなって。』
夜中に喘息の発作を起こした時、白衣を脱いでも医者なんだ、と言ってたのはこういうことだったのか。
『今日は遅いから、明日掃除しよう。俺こっちで寝るから、ここの部屋使っていいよ。』
『悪いよ、私がこっちで寝るから。』
『何が悪いの。こっちの部屋は夜寒くなりやすいからだめ。風邪ひく方が悪いでしょ。』
『わかった。』
『お風呂入っといで。』
『うん。』
なんだか母のようなことを言っている気がするのは気のせいだろうか。