伝えたい。あなたに。"second story"
『母さんね、ゆうかと同じ白血病だったんだ。』



『そうなの?』



『でも20年前の医療じゃ、救えなかった。』



じっと話を聞く。



『だからね、ゆうかが白血病になったとき。ドキっとしたよ。けれど、今の医療なら十分寛解が望める。命を守ることができる。』



『そうだったんだ。』



『だから、小さい頃見てた母さんと、ゆうかが重なった部分もあった。あの頃は何もできなかったけど、今なら救うことができる。母さんからの、挑戦状のような気がして。絶対治さなきゃって思ったんだ。』



山瀬先生の気持ちを考えると、私と向き合うのはどんなに辛かっただろうと思う。



『山瀬先生、大変な思いして、、



涙がこぼれる。



『もう大丈夫。こうして、家に帰ってこれたでしょ。幸せだよね。』



そう言う山瀬先生の腕のなかは、とても暖かかった。



『ところで、山瀬先生はいい加減やめてね。』



真っ赤な目で先生を見つめる。



『なんで。』



『なんでじゃないでしょ。家では先生ではないし、呼び捨てでいいから。』



『泰志、、、、先生。』



『いや変わってない。』



呼び捨てなんて変な感じがする。



『泰志。』



『名前呼ぶだけでいちいち顔赤くされても、困るんですけど。』



そんなやりとりが、何より幸せだった。
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