シンデレラは王子に攫われる
「俺は、まっすぐで努力家の麗美を好きになったんです。心が醜い人を好きになろうとする気はありませんよ」

お姫様、行きましょうかと麗美は愛叶に優しく声をかけられる。その刹那、ふわりと麗美の体が浮き上がった。愛叶に横抱きにされたのだ。

「ま、愛叶くん!?」

「麗美、ちゃんと食べないとダメだぞ。めちゃくちゃ軽い!」

「そ、そうじゃなくて!!」

母と姉を置いてタクシーに乗せられた麗美は、隣に座った愛叶に顔を赤くしたまま言う。

「その……愛叶くんにあんなこと言ってもらえて嬉かった。でも、炎上とか……」

自分のせいで、愛叶の居場所がなくなるのは嫌だ。嬉しさとは違う涙があふれそうになる。それを察したのか、愛叶は麗美の両手を包んだ。

「それなら心配しないで。俺たちはアメリカに行くんだから。もう日本の芸能界のことなんて、気にする必要ないよ」

それより、と愛叶は麗美に顔を近づけた。

「告白の返事は?まあ、アメリカに連れて行くことに変わりはないけど」
< 13 / 15 >

この作品をシェア

pagetop