シンデレラは王子に攫われる
そして、水曜日がやって来た。愛叶の記者会見はお昼に行われる。
麗美は今日は仕事が休みだ。仕事がない日は、いつも以上にこき使われる。
「麗美、洗濯これもしといて!」
「掃除、いつまで時間かかってんの!!グズ!」
「昼はカルボナーラ作りなさいよ!!」
「デザートもね!」
朝早くから動いてばかりだ。しかし、休むことは許されない。麗美はひたすら家事を続ける。
母と姉が昼食を食べ終え、ようやく麗美も残ったわずかな茹でたパスタを食べ始めた頃、「愛叶だ〜!!」と姉がはしゃいだ。
立派なスーツを着た愛叶が、マイクが何本も置かれたテーブルに近づいていく。パシャパシャと記者が撮影する音が響いた。
「今日は、お集まりいただきありがとうございます」
愛叶がペコリと頭を下げる。きゃあきゃあと姉が叫び、麗美は会見の様子を見守る。
「僕は、実はアメリカのハリウッド映画に出演することが決まりました」